危険レベル・ポイント
●新疆ウイグル自治区、チベット自治区
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●最近、中国各地で人の集まる場所(公園・学校・地下鉄等)やその近辺、路上において刃物によって襲われるなどの凶悪事件が発生しており、邦人が犠牲になる事件も発生しています。外出の際は不審者の接近等、周囲の状況にくれぐれも留意してください。
●新疆ウイグル自治区では、過去に多数の死傷者を出す暴動や無差別殺傷事件が発生しています。今後も不測の事態が発生する可能性があり、引き続き注意が必要です。
●チベット自治区では、過去に僧侶等によるデモが一部暴徒化し、多数の死傷者が出る事案が発生しています。今後も不測の事態が発生する可能性があり、引き続き注意が必要です。
詳細
(1)中国の治安状況は全体としては安定していますが、中国の国土は広く、地域によっては民族や宗教に起因する事件も発生しているので、滞在・旅行される地域に関する情報収集が重要です。
(2)最近、中国各地で人の集まる場所(公園・学校・地下鉄等)やその近辺、路上において刃物によって襲われるなどの凶悪事件が発生していますおり、邦人が犠牲になる事件も発生しています。外出の際は不審者の接近等、周囲の状況にくれぐれも留意し安全確保に努めてください。また、特にお子さん連れの方は、十分注意して行動されるようにしてください。
(3)新疆ウイグル自治区では暴動や無差別殺傷事案が、チベット自治区やその周辺地域ではデモの暴徒化やチベット族の焼身自殺事案が、それぞれ過去に発生しています。このように治安情勢に不安定な要因があるため、これら地域に危険情報レベル1(十分注意してください。)を発出しています。
(4)上記自治区以外の地域においても、民族や宗教に起因する無差別殺傷事件や個人による同様の事件が発生しているため、注意が必要です。
(5)中国では、「国家安全に危害を与える」とされる行為は、刑法、反スパイ法、軍事施設保護法、測量法等に基づき取調べの対象となり、国家安全部門に長期間の拘束を余儀なくされるのみならず、裁判で有罪となれば、懲役などの厳重な刑罰を科されるおそれがあります。2023年7月には「スパイ活動」への対策を強化する改訂法が施行され、また、2024年5月には中国国内の機関や企業による国家秘密の管理徹底を目的とした国家秘密保護法の改正が行われる等、「国家安全」に危害を及ぼす行為への対策を強化しており、注意する必要があります。
●スパイ行為やその他違法活動とみなされる可能性がある行為の例
(https://www.anzen.mofa.go.jp/china_spy1/china_spy1.pdf )
●改訂「反スパイ法」におけるスパイ行為の定義
(https://www.anzen.mofa.go.jp/china_spy2/china_spy2.pdf )
●中国国家安全部が公表しているスパイ事案摘発等の例
(https://www.anzen.mofa.go.jp/china_spy3/china_spy3.pdf )
詳細は、安全対策基礎データの「滞在時の留意事項」(10 いわゆる「スパイ行為」等)に掲載していますので確認をしてください。( https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_009.html )
(6)テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年では、単独犯によるローンオフェンス型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を予測し未然に防ぐことは困難です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的になり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
2 地域別情勢
(1)新疆ウイグル自治区
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア 新疆ウイグル自治区では、2009年に区都ウルムチ市等で発生した暴動により、多数の死傷者が出ました。その後も、同自治区のカシュガル地区やホータン地区で無差別殺傷事件等が発生しており、2014年にはウルムチ市の駅前や市場(バザール)付近での無差別殺傷事件で多数の死傷者が出たほか、2015年にはアクス地区において、テロ集団による炭鉱襲撃により多数の死傷者が出ています。また、報道等によると、同自治区の治安維持のため、当局は住民に対して厳しい取締りを行っており、右対応への不満等が高まると不測の事態が発生する可能性も排除できないことから、引き続き注意が必要です。
イ 新疆ウイグル自治区のうち、アフガニスタン及びパキスタンとの各国境付近は、両国の情勢の影響を受けて治安が不安定となる可能性があるため注意が必要です(アフガニスタン及びパキスタンについては、別途「危険情報」が発出されています。
アフガニスタン: https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_041.html#ad-image-0 、
パキスタン: https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_011.html#ad-image-0 )。
なお、国境地域では、国境の一時的な閉鎖や、自然災害により国境付近の道路が通行不能になる等の状況も発生しています。特に中国とパキスタンを結ぶいわゆる中パ道路は、途中で5,000メートル級の峠を越す山岳ルートであり、治安だけでなく自然環境も厳しい場所ですので、陸路での移動はお勧めできません。つきましては、新疆ウイグル自治区に渡航・滞在を予定している場合は、現地情勢に関する最新の情報入手に努め、旅行日程を慎重に検討し、現地では不測の事態に巻き込まれないよう十分注意を払ってください。
(2)チベット自治区
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア 外国人がチベット自治区を訪れる場合は、必ず「外国人入蔵許可証」を取得する必要があります。
イ チベット自治区では、2008年3月に僧侶等によるデモが相次ぎ、デモ参加者の一部が暴徒化する等して多数の死傷者が出ました。その後も僧侶等の焼身自殺事案が発生していることから、当局は一定の警戒態勢を敷いています。
1959年3月にダライ・ラマのラサ脱出につながる衝突が発生し、チベット亡命政府が3月10日を民族蜂起記念日としていることから、例年2、3月頃には厳重な警戒態勢が敷かれます。
ウ チベット自治区は全般的に標高が高く(区都ラサの標高は3,650m、シガツェは3,850m、青海チベット鉄道全線の平均海抜は約4,500m(最高地点は5,072m))、高山病にかかりやすいため、体調を考慮した上で、旅行の適否や行程を検討してください。なお、十分な医療設備が整っていない高地であることから、海外旅行保険に加入する等、事前準備を入念に行ってください。同自治区の高山・山岳地帯における道路状況はあまり良くありません。2014年8月には観光バスがトラック等と衝突し、崖下に転落して44名が死亡する事故が発生しています。
つきましては、チベット自治区に渡航・滞在を予定している場合は、現地情勢に関する最新の情報入手に努め、旅行日程を慎重に検討し、現地では不測の事態に巻き込まれないよう十分注意を払ってください。
(3)その他地域
新疆ウイグル自治区とチベット自治区以外の地域では、2013年10月に北京市の天安門に車が突入して死傷者が発生したほか、2014年3月に雲南省昆明市の駅構内で無差別殺傷事件が発生する等、民族や宗教に絡む凶悪な事件が発生しています。
また、最近では子どもが被害者となる事件を含め、次のような凶悪事件が発生しています。外出の際は不審者 の接近等、周囲の状況にくれぐれも留意し、特にお子さん連れの方は、十分注意してください。
・広東省深セン市において日本人学校児童1名が登校中に刃物を持った男に襲われ死亡(2024年9月)
・江蘇省蘇州市内の日本人学校スクールバス停留所において刃物を持った男が邦人母子及び中国人1名を切りつけ、中国人1名が死亡(2024年6月)
・吉林省吉林市の公園において刃物を持った男が外国人4名及び中国人1名を刺傷(2024年6月)
・遼寧省大連市の横断歩道を渡る通行人に対し、猛スピードで車輌が突っ込み、5人が死亡、8人が重軽傷(2021年5月)
・雲南省昆明市の中学校に刃物を持った男が侵入して立てこもり、1名が死亡、7名が負傷(2021年1月)
・北京の小学校に通う児童が男に金槌で殴打され、20名が負傷(2019年1月)
・北京市西単のショッピングセンターで中国人男性が刃物で無差別に切りつけ、買い物客ら13名が負傷、中国人女性1名が死亡(2018年2月)
・上海浦東国際空港で手製爆弾が爆発し、外国人を含む4人が負傷(2016年6月)
・雲南省昆明市の駅で刃物を持った集団が通行人らを無差別に襲撃し、28名が死亡、113名が負傷(2014年3月)
3 その他
(1)その他、渡航・滞在に当たっての注意事項については、「安全対策基礎データ」を確認してください。( https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_009.html )
(2)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
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