1 ACT(首都特別地域)の治安情勢
(1)メディアリリース等では暴行や強盗を取り扱った事件が多く見られましたが、前年
度の同時期と比較すると、全体的に犯罪が減少した傾向が見られますが、前四半期から
では増加傾向にあります。昨年10月のイスラエル、ハマス間の衝突以降、抗議活動が
市街地や国立大学構内などで発生していますが、その数も徐々に減少しつつあります。
(2)前四半期との比較
全体の件数自体は約1.5倍になっており、ほぼすべての罪種で件数が増加していま
す。
2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
(1)犯罪発生地域の傾向
ア 昨年度の同時期に比べ、全般的に減少傾向にあります。
イ 「地域別犯罪発生率の傾向」について
(2)犯罪発生件数と犯罪の傾向
ア ACTでの3ヶ月間の犯罪発生件数(昨年同時期の発生件数)
・暴 行 : 1057件( 1191件) -11%
・住居侵入 : 413件( 682件) -39%
・強 盗 : 39件( 69件) -43%
・殺人(未遂含む。): 2件( 3件) -33%
・性的暴行 : 149件( 209件) -29%
・その他の対人犯罪 : 137件( 133件) 3%
・車両盗難 : 265件( 378件) -30%
・器物損壊 : 955件( 1197件) -20%
・その他の犯罪 : 2361件( 3021件) -22%
・窃 盗 : 2035件( 2534件) -20%
・交通違反 : 1982件( 1976件) 0.3%
ACT全体の犯罪発生件数は昨年同時期に比べ約18%減少しています。
イ 犯罪別の傾向
盗難車が燃やされて発見される事件が数件発生し、強盗や車両窃盗、放火、暴行な
どが同一地区内で発生する形の犯罪形態が多く見られます。また、スピード違反や免
停中での運転等、危険運転により発生する事故ついても引き続き注意が必要との報道
がされています。今期は、薬物に関連する報道が目立ちました。所持だけでなく、密
売の罪で起訴される事案も多く、検問で所持や使用が発覚するケースもあります。違
法薬物の発見と同時に武器や銃器が見つかるなど、銃器犯罪についても報告されてい
ます。
(3)今期の特性
今期のACT内における治安情勢は、昨年の同時期と比較すると犯罪発生率について
減少していることが分かります。比較的犯罪発生件数の多いGungahlin地区やBelconnen
地区においては、約20%の減少が見られ、Weston Creek地区では35%減少していま
す。しかしながら、前四半期からは全体的に増加にあり、家族や恋人間での暴力事案、
道路交通法違反などが目立ちます。
インターネットやアプリを通じた薬物の取引や暴力事案など、豪州全体として若者の
インターネットの取り扱いには警鐘を鳴らしています。また、オーストラリア国立大学
付近や学生寮での盗難事案も多発しているため、貴重品の管理などには引き続き十分な
注意が必要です。
3 テロ・爆弾事件発生状況
(1)テロ事件の発生状況
2024年8月5日以降、豪州のテロの脅威レベルは「蓋然性がある(Probable)」
へと段階が上げられました。今回の引き上げは特定の事案や過激主義に基づくものでは
なく、現在進行中のテロ計画や差し迫ったテロ攻撃が予想されているわけではありませ
んが、テロの脅威がなくなったわけではなく、国内外を問わずテロリストの活動は懸念
されているため、今後も継続的にテロに関連した最新の情報の入手に努めてください。
(2)爆弾予告及び事件の発生状況
現在のところ爆弾に関連した事件の発生については認知していません。
4 誘拐・脅迫事件発生情報
邦人誘拐等の被害については認知していません。
5 日本企業等の安全に関わる諸問題
一般的に対日感情は良好とされ、日本企業等の安全に関わる諸問題については認知して
いません。
6 抗議活動
日本や日本人を標的にする抗議活動は発生していませんが、9月に反捕鯨団体シー・シ
ェパードの元代表の逮捕を受け、捕鯨に関する抗議活動の活発化が予想されました。また
イスラエル、ハマス間における衝突に関する抗議活動については、継続して行われている
ものの、減少傾向にあります。他にも、難民受け入れや賃金上昇を訴える抗議活動も行わ
れていますが、キャンベラでの抗議活動は平和的に行われており、逮捕者については確認
されていません。しかしながら、こうした活動の増加については予測ができないため、抗
議活動等を見かけた場合は、決して近寄ることなく、巻き込まれないよう十分注意してく
ださい
参考:
1.ACT警察犯罪統計(ACT警察ウェブサイト)
2.ACT(首都特別地域)の事件発生状況(2024年7月~9月期)
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