日本からの出張者・観光客・留学生の回復に伴い、当地においてスリ・ひったくり・強盗といった街頭犯罪に加え、詐欺事案に関する邦人からの相談が増えています。邦人の皆さまにおかれましては、くれぐれも日本とは異なるということ、犯罪が発生すると現地警察に対して被害者本人が届出等の対応をする必要があるとともに、解決には相応の時間と労力を要し、未解決となることも少なくないことを再認識のうえ、各種犯罪の被害に遭わないようにくれぐれも注意してください。
1 強盗・暴行被害
2 詐欺被害
3 恐喝被害
4 性犯罪被害
5 車上ねらい被害
6 スリ・置き引き被害
1 強盗・暴行被害
(1)傾向
バンクーバー市内ダウンタウン及び近郊都市の駅周辺等では依然として強盗・暴行事件が発生しており、残念ながら邦人の方も被害に遭っています。自宅の最寄り駅やバス停から自宅付近まで後を付けられて強盗等の被害に遭ったり、街中で知らない者からいきなり殴られるといったケースがあります。また、薬物による情緒不安定な者や薬物依存症者、さらには、精神的な不安定さを抱える人々が増加しています。
(2)対策
○夜間・深夜に人通りの少ない道を単独で歩くことは控え、なるべく、タクシー等を利用する
○駅周辺、バス停付近には、被害者を物色している犯罪者がいることがあるので、特に周囲に注意を払うようにする
○イヤホンで音楽を聴いたり、携帯電話を操作しながら歩くことは、周囲の視界が狭まり、音に無防備になり標的になりやすいのでしない
○時々、後ろを振り返る等警戒を怠らず、堂々と自信を持って歩く(犯罪者は抵抗されそうな者を避ける傾向にあると言われています)
○道を歩いている際に異変を感じたり、情緒不安定な人を見かけた場合は、その人たちと目を合わせないようにし、一定の距離を保つ。また、可能ならば道を変えるなどして自分の身を守る
2 詐欺被害
(1)傾向(詐欺の手口)
カナダでは依然として詐欺の発生が後を絶ちません。詐欺の手口は、日々、巧妙化・進化していますが、主に下記のような詐欺の形態があります。詐欺の被害に遭わないためにも詐欺の手口を知っておくことが重要です。
○政府・公的機関を装ったもの
政府・公的機関を装って、「支払いが必要」、「返金を行う」などというテキストメッセージが送られてくることがあり、お金を支払ってしまうケースや個人情報を騙し取られるケースがあります。
最近では、ICBC、BC州政府、バンクーバー市役所を装って交通違反の反則金未払いを通知するテキストメッセージが送られてくるケースが発生しています。上記機関によれば、交通違反の通知をテキストメッセージで行うことはなく、郵送で通知を行っているとのことです。
また、ディスプレイの電話番号表示が実在する警察署等の電話番号であっても、偽装されているおそれがあるので、安易に信用しないでください。
○Amazon、Netflix、Canada Post、銀行等を装ったもの
上記企業等から「支払いが滞っている」、「荷物が届けられなかった」等とテキストメッセージで連絡があり、リンク先にて個人情報を騙し取られるフィッシング詐欺があります。
○電話による詐欺
クレジットカード会社、銀行、政府機関を名乗る音声メッセージ等による詐欺があります。メッセージの内容としては、「クレジットカードを停止する」、「税金の滞納があり強制送還、逮捕の対象となる」等と脅し、住所やSINナンバー、クレジットカード情報等の個人情報を騙し取られるケースがあります。
○賃貸借詐欺
インターネット等の掲示板(Craigslist)等で、実在しないシェアハウス・ホームステイ先等の物件を紹介し、家賃をだまし取られるケースがあります。
このケースでは、平均より家賃が安く魅力的な物件であるが、「事前に物件の下見が出来ない」、「支払いを先に求めてくる」といった特徴があり、手付金や家賃前払い金と称したお金を事前に振り込んだ直後に、相手と連絡が取れなくなるといったケースがあります。
○小切手利用時の詐欺
日本人は、小切手を利用する習慣がないため、小切手が絡んだ詐欺に遭う方が増えています。一例をあげると、何らかの支払いのために、知らない相手から小切手を受け取り、相手から「誤って多めの額を小切手に記載してしまった。差額を現金で返してほしい。」と誘導されて、小切手が真正なもので、自分の銀行に入金されていると信じ込み、現金を相手に渡してしまうというケースがあります。
(2)対策
詐欺師は、人の不安につけ込むなど、その手口は日々巧妙化・進化しています。様々な対策が考えられますが、総じて以下の点に注意するようにしてください。
○一人で判断することなく、周りの知人・友人等に詐欺でないか相談する
○個人情報を気軽に渡さない・入力しない
○不審なリンク(URL)をクリックしない
○知らない人と、小切手で何らかの取引をする場合は、小切手の手続きには、実際に入金手続きが完了するまでに時間を要する事を考慮して、自分の銀行口座に小切手の金額が表記されていたとしても、即座に入金が完了したという意味ではないことを知っておく。銀行が入金の手続き段階で、偽造の小切手と判断した場合、入金手続きが却下されることがあることを念頭に置いて、慎重に取引をする。小切手を口座にデポジットする場合、時間をおいて口座に入金が完了したことを確認する。
○最新の詐欺の手口を、新聞・ニュース、公的機関から入手する(当館から過去にお知らせした下記リンクをご参照)
3 恐喝被害
(1)傾向
言語交換アプリ、SNS等を通して知り合った相手にLINEやカカオトークなどに誘導されて、ビデオ通話を求められた上、そのビデオ通話中にパスポートや自身の裸を見せて欲しいと言われてそれに応じたところ、その様子をひそかに写真や動画に保存されてしまい、写真等を拡散すると脅されお金を脅しとられるといったケースが発生しています。なお、相手の要求に応じて金銭を支払ってしまった結果、金銭を支払ったことで事態が鎮静化するどころか、さらに要求がエスカレートした事案もあります。
(2)対策
少しでも不審に思った際は、アカウント等を解除し、相手との連絡を一切絶ち、送金等を絶対にしないようにする
4 性犯罪被害
(1)傾向
日本人は他国の方と比べて嫌なことでもはっきりと断らない傾向があると思われていることから、日本人を狙ったケースもあるようです。性犯罪の被害に遭うと心に深い傷を負います。日本と同様の感覚、常識で行動することなく、海外で生活しているという自覚を持って、初対面で安易に相手を信用せず、言語の勉強、観光案内などを口実として近づいてくる人物には注意しましょう。
(2)対策(心得・注意点)
先述の、強盗・暴行被害で挙げた対策に加えて下記の点に注意してください。
○友人、ルームメート、同僚、勤務先関係者等、親しい間柄の相手であっても、自分が嫌なことははっきりと意思表示をする
○知らない人に勧められた飲食物を安易に口にしない(睡眠薬等を混入されるケースがあります)
○過度な飲酒を避ける
○アプリ等で知り合った相手を安易に信用せず、気を許さない
○ランゲージエクスチェンジを手段として異性の日本人に近づこうとする者がいることを心得る
○ランゲージエクスチェンジ等初対面の人と会う時は、公共の場所かつ人が多い場所を選択する
○安易に知らない人を自宅に招かない、知らない人の車に乗らない、家に付いて行かない
○シェアハウス等、複数で共有する施設を利用する場合は、施錠設備の有無をよく確認し、施錠設備のない施設の利用は極力避ける。また、施錠設備がある場合は必ず施錠し、就寝前など必ず戸締まりを行う
○ホテルの部屋等のドアをノックされても、安易にドアを開けない。開ける前にドアスコープで確認し、防犯チェーンを掛けたまま対応する(ホテルのスタッフや、水道・電気の修理人らしき人でも、頼んだ覚えがなければフロントに確認する)
○旅行中に親しげに声をかけてくる外国人に対しては、安易に信用しない。また、警戒心を忘れず、少しでも不審に思った時ははっきりと断る
○観光案内を持ちかけられても絶対に付いていかない(日本語で話しかけ、日本での滞在経験や日本人の知り合いの名前を言及するなどして旅行者を安心させてだますような巧妙な手口も発生しており、注意が必要)
5 車上ねらい被害
(1)傾向
バンクーバー市内等では、依然として車上ねらいによる被害が発生しており、在留邦人の方や邦人旅行者の方の中にも現金や旅券が盗まれる被害に遭った事件が報告されています。スタジアム、大型ショッピングモール等の駐車場や、街中での短時間の駐車でも油断は大敵です。また、ドアロックのかけ忘れによる被害も発生しています。
(2)対策
○車内に貴重品は決して残さない。また、車外から目に付く場所に鞄、スーツケース等の荷物を置いて車から離れない
○ドアロックを確実に行う
6 スリ・置き引き被害
(1)傾向
カフェ、レストラン等で、座席に掛けた鞄等から財布等の貴重品が盗まれたり、トイレ等で短時間席を外したすきに、パソコン、貴重品を盗まれるケースがあります。
また、空港、ホテルのロビー、図書館等においても短時間手荷物の目を離したすきに盗難の被害に遭うケースが発生しています。観光スポット等の人混みでは、プロのスリが観光客等をねらって物色しています。
(2)対策
○鞄や貴重品は自分の身体の前に持つ
○財布や旅券は肌身離さず持つ
○携帯電話、財布等をズボンの後ろポケットや人目の付く場所に入れない
○短時間でも、自分の荷物を放置しない、目を離さない
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